
ゆんころ
こんにちは。薩摩琵琶の水島結子です!
私の師匠友吉鶴心が今回ナビゲーターとして鶴田錦史、没後30周年の記念の演奏会を開催いたします。
薩摩琵琶鶴田流琵琶楽保存会が発足いたしました。
薩摩琵琶鶴田流琵琶楽保存会第一回定期演奏会
令和7年3月30日日曜日
開場:午後1時半 開演午後2時
入場料5000円
場所:青山銕仙会能楽研修所
チケットのお申し込み:biwalive.info@gmail.com か090-8345-0631にお電話の上、送付先をお教えくださいませ


鶴田錦史の得意とした演目を中心に、今まで語られてこなかった鶴田錦史のお話などを友吉鶴心より、普段より近いアットホームな雰囲気でお楽しみいただけます!
私も今まで公にしてきませんでしたが、鶴田流の門戸を叩いてから24年が経ち、数年前までとても悩んでいました。
私が目指す鶴田錦史の音源と現在鶴田流として演奏されている演目の本質があまりにも違うことに、
これからどうやって行ったら良いのだろうとずっと悩んでいました。
もちろん稽古は続けていましたが、悩んでいたがゆえに詩吟をやってみたり、琵琶デュオをやってみたり、他の勉強もたくさんさせていただきました。
しかし、私が私の悩みは全く解消されなかったのです💦
そこで一旦琵琶デュオもやめ、友吉先生の元を訪れることにしました。
初めて先生の「壇の浦」を聞いたときに鶴田先生が歌っているんじゃないかと思いましたし、弾法の「間」のの表現力などは鶴田錦史そのものでした。今も友吉先生から稽古をいただいているときに、鶴田先生から指導されているのではないかと思う瞬間がよくあります。
稽古と言うものは自分と向き合うためにするものです。
それは本番の舞台があるからやるもの…つまり「練習」とは全く違うものです。
舞台がなくても日々自分と向き合い、師と向き合い、楽曲と向き合うことで、自分の中の解決していない問題や心のもやもや、いろんなものが整理されてきます。
だからこそ稽古は毎日しなければならないと友吉はおっしゃっています。
友吉先生はいまだに鶴田先生の音源で稽古を重ね、鶴田先生に恥じることのないような演奏すると言って、その背中を私たち弟子に見せてくださっています。
このような演奏家は私は他に知りません。
私が流派内で師を変える…つまり移籍すると言うことは変わったことでもあるし、当時周りからとても批判されました。
悪口もたくさん言われましたし直接「あんた、どういうつもり?」と言ってくる人もいました。
ですが、私は友吉鶴心先生のもとで稽古をいただけることにとても感謝しております。
自分の人生ですし、何を言われても自分が納得して芸の道に進めたと言うことは、これからも自分と向き合い、芸と向き合って、
鶴田錦史と向き合える環境を手に入れられたことでもあります。
見守ってくださった皆様や、師、そして兄弟子、姉弟子に本当に感謝しております。

この演奏会では、私がトップバッターを務め、鶴田錦史作曲の忠臣蔵の討ち入りを描いた、「雪晴れ」を演奏させていただきます。
これも戦後しばらくは自主的に公演できなかった「忠臣蔵」関連の曲がやっとできるようになった1970年代に作られた曲です。
戦後すぐは特攻隊などの過激な思想は日本人の忠義心教育が原因であると、GHQから歌舞伎等に直接上演禁止されたのが「忠臣蔵」関係の演目だったという歴史的事実があり、それがやっと解けた時期の曲です。
鶴田流の特色としましては、大胆、かつ繊細であること。
ダイナミックな弾法の裏には、かなり細心の注力を払って演奏し、日本語の美しさを壊さないように言葉を運ぶという、非常に本質的な芸風であります。
自分を出さないよう自分の勝手な解釈を乗せないように、ただ鶴田錦史の教えのまま、友吉鶴心の体を通し、私の体を通し、鶴田錦史が生きているように演奏させていただくのが目標であります。
まだまだ未熟ではありますが、私の成長、琵琶楽の成長ともに見守っていただけましたら幸いです。
私は琵琶楽というものは今後AIやITが発展した世の中でも生き残っていけるジャンルのものだと確信しております。
派手ではないし、やれる事は限られています。西洋音楽とのコラボレーションも難しい楽器です。
しかし自分と向き合うとか、自分自身を見つめるためのツールとしてはこの上ない芸能だと思っております。
自分を変えない限り世界は変わらない。
これは皆さんが今悩んでいる人間関係と全く同じことではないでしょうか。
他人の事は変えられません。他人にこうして欲しい他人が変わってくれれば、人生は楽なのにと安易に私たちは思いがちですが、他人が自分のために代わってくれることなんてほぼほぼありません。
自分が変わらなければ世界は変わらないのです。

また自分が変われば次のステージに行ける可能性は必ずあります。
自分が自分のだめなところも受け入れそこを克服し、次に進んだときに新たなステージが見えます。
それは乗り越えたことのある人しかわからない景色です。
その景色を少しでも見たいがために、今日も稽古に勤しみたいと思います。どうぞ応援していただければ幸いです。