鶴田流 薩摩琵琶奏者水島結子のプロフィール
薩摩琵琶演奏家。東京都出身。 早稲田大学教育学部社会科卒業。
早稲田大学在学中、薩摩琵琶鶴田流を田中之雄に師事。
以来演奏のみならず、日本で初めて『琵琶新聞』の研究を始める。
〈アジアの芸能〉を更に研究するため韓国国立ソウル大学国楽科(伝統芸能科)に学部生としては日本人初の交換留学。
帰国後、科学研究費助成事業基盤研究Cにて「近代琵琶楽の成立と展開」を論文発表。
その頃より様々な角度から近代薩摩琵琶の魅力を探求するため招聘海外演奏のほか、後藤幸浩と「琵琶デュオ」を結成し、8年間活動。琵琶の演奏活動や研究が認められ『東久邇宮文化褒賞』受賞。
現在は鶴田流古典曲の研鑽を志し、田中之雄許可のもと門下を移籍し、鶴田錦史の薫陶を色濃く受け継ぐ友吉鶴心に師事。
古典曲の稽古を重ねながら、演奏活動を中心に、NHK大河ドラマやNHKドラマ10出演、2023年は朝ドラ「らんまん」出演。若者手琵琶奏者育成、近代琵琶の研究・論文発表、早稲田大学、学習院大学、獨協大学の講義、と多岐にわたり琵琶音楽の発展に勤めている。学習院大学非常勤講師。
◇所属 鶴田流薩摩琵琶 友吉鶴心門下
学習院大学 非常勤講師
◇受賞 平成29年東久邇宮文化褒章
琵琶ツイート世界一、おそらくネット発信も琵琶界でダントツと思います💦
これから自己紹介をさせていただきます!
・薩摩琵琶の歌詞の解説
・琵琶や歌の上達法
・邦楽演奏家のやるべきネット対策
・日々の気づき
琵琶奏者・水島結子の私的プロフィール
琵琶研究の第一人者である薦田治子先生の元で科研費による調査を4年、論文を書くように
こんな感じです。
ノホホンと女子高の園で育ち、大学入学時に琵琶に出合ってから、人生変わりました。
びわびわ言ってたら、自然といろんな方に助けられて、ありがたいことに生計が成り立つようになりました。
韓国は、第二外国語で朝鮮語を履修していたのと、韓国の伝統芸能が日本より日常に身近なのを知っていいなぁと思ったのがきっかけで韓国の伝統芸能を聞くようになりました。ちょうど日韓共催のW杯のころでした。
韓国も古くは雅楽系と俗楽系の2種類の琵琶がありました。唐琵琶(당비파・左)と郷琵琶(향비파・右)です。
琵琶は科挙の試験の必須科目だった過去があるにもかかわらず、箏の多様化により廃れていき、日韓併合で完全に琵琶が廃れてなくなってしまいます。
琵琶は高貴な身分の人しか演奏できず、奏法は秘法とされていて、コムンゴにとってかわられたといわれています。エンピツみたいな撥で叩くように弾く箏です。
今韓国は琵琶の復興事業をしていますが、中国にいってやってるんですよね…。中国は王朝が変わるたびに前の文化ぜんぶ壊してしまうので今の中国の琵琶は古典のものじゃないんだけどと思いつつ…。
12年くらい携わっている『琵琶新聞』は、私の周りにも浸透してきています。最近の琵琶楽協会の会報も過去の『琵琶新聞』が転載されるようになって、人目に触れるのはよいことだなぁと思っています。
たくさんの方に読んでいただきたい、琵琶熱がこもった機関紙です。
とにかく編集委員や琵琶新聞社の社長が命を懸けて琵琶について論じている。
夜な夜な一人で読みふけり、新たなテーマ探しに燃えています。
最近は、師匠・友吉鶴心先生の母方のおじい様である、山口速水氏について調べています。
2016年に招請されたアブダビANIMEにて、琵琶演奏を王族の前で披露。オープニングでなぜか大使、王様、王子様たちと練り歩く。
黒の装束は第3夫人で、優しい英語でアラブ半島からきたウードのお話をしてくださいました。
アラブ半島から小さな島国、日本に琵琶がきて、これです、と私も本場の方にお伝え出来て感動。
しかし、マイクや日本からの機材が全て盗難にあいほとんどのステージがパニックに。
私はマイクなしでもいけたので、改めてアコースティックは強いと思いました。(そのあとバスの運転手にバス用のマイクを借りた)
モバイルアプリで大人気の「モンスターストライク」のイベントで「お出まし弁財天」の曲を演奏させていただきました。琵琶以外の音がメインですが、琵琶っぽいのは弾いているの、私です。
最終変化がエレキ琵琶というのがとてもよい◎
琵琶の仕事はたいてい、なんでもやらせていただきます☆
【学術活動】琵琶奏者・水島結子の活動
ソウル大学留学時
シルクロードから中国・韓国経由で日本に琵琶が入ってきたはずが、韓国では琵琶が絶滅。
その理由を探る留学だったが、資料がなさすぎて驚く。
日韓併合時代に日本に文化統制されてなくなったそうで、文化を消滅させた日本の罪は重い…
戦時中に京城(ソウル)や釜山にわたった日本人も多く、薩摩琵琶錦心流の支部があったはずなのに、その資料もことごとく見つからない…
韓国琵琶の論文を訳し始める。
日韓伝統芸能の通訳を始める。アリランTVやKBSなど韓国のテレビ局の通訳バイトもしていました。
同時通訳は、日本語力と気づきました…
琵琶新聞研究
・2011年頃から琵琶楽研究の第一人者である薦田治子先生指導のもと、文科省科学研究費助成事業(基盤研究C)にて『琵琶新聞』を35年分網羅し、概要を調査する作業を4年間行う。
先行研究が全くないなか、手探りで1943~1944年の『琵琶新聞』誌上で確認できる演奏会の演目をすべて抜き出し、新作琵琶歌と古典曲のどちらが多く、どういった曲が戦時中に演奏されていたかを調査し、論文を発表。
(「第二次大戦期の琵琶歌のレパートリー -『琵琶新聞』紙上発表の新作と演奏曲目-」2014 水島結子)
その後、「戦争と琵琶」というテーマで明治~終戦直前までに作られた戦争ものの新作琵琶歌の復元と解説ライブを5回自分主催で行い、その他大学や平和シンポジウムで公演多数。
そのうちの3回は軍歌研究・歴史家の辻田真佐憲氏を招き、解説を依頼。
琵琶歌と軍歌、邦楽と洋楽、亡くなった軍人の魂を鎮める歌、軍人を送り出す歌、などの視点で比較研究することができた。
・非常勤講師をさせていただいている学習院大学はもちろんのこと、早稲田大学、獨協大学、日本大学、大東文化大学、静岡大学、西南学院大学…とたくさんの大学で講義や演奏に招請。
そこでは私の研究テーマである「戦争と琵琶」についてお話させていただき、現代の古典曲と戦前の戦争に関する琵琶歌の比較演奏を解説。
・学術学会の藝能学会に参加。
2019年の大会では東京で近代琵琶歌が流行し、大量に新作琵琶歌が作られた時期を4つに分類。
(明治以前、黎明期、発展期、投書期)発展期には専業の作詞家が登場し、歌詞も練られ、今も演奏される曲も多いが、投書期は『琵琶新聞』や一般の新聞に懸賞金目的や自己満のためにニュース的な琵琶歌(=当時の戦争の過程)を投書した時期。
琵琶を演奏していない人も多く、何かが起こるとすぐに作詞して投書するので、歌詞が練れておらず歌いづらいものが多いが、その琵琶歌ができる過程が記された記事を見ながら、解説後に再現演奏。
シンガポールが日本軍により陥落したシンガポールの戦いをテーマにした「新嘉坡の陥落」(作:英雲外)を演奏した。
再現演奏は、散逸した資料から琵琶歌を抜き出したうえで節をつけ、さらに歌いこまないといけないので割と大変な作業ではありますが、演奏家しかできないことだと思って、地道に曲を増やしています。
これまでに再現した戦前に作られた新曲琵琶歌
「嗚 山本元帥」
「常陸丸」
「日本海海戦」
「黄海の
「特別攻撃隊~九軍神」
「嗚呼加藤部隊長」
「新嘉坡の陥落」
「黄海の大捷 (たいしょう)」
「乃木大将」
琵琶奏者・水島結子が得意とする演奏スタイル
1古典曲に関する解説を中心としたレクチャーコンサート
古典曲は言葉が古文なので「難しそう」と思われがちですが、内容や背景を知ると理解しやすくなります。
日本語なのに一発で理解できないのがストレス、ということがわかってきたので、演奏の際は内容理解を中心に解説を行います。難しそう…と思っている方も安心して参加していただけますよ。
必ず歌詞と解説プリントを配布しています。
2「戦争と琵琶」に関する講演
戦時期の日本の芸能について、大学や教育機関などでよく講演依頼をいただきます。
戦争中に作られた新曲に節付けしたり、戦時中に琵琶人たちがどのように戦争参加を行っていたのかを『琵琶新聞』などの資料をみながら解説し、最後に再現演奏を行います。
戦前の芸能研究は軍歌など、洋楽側の研究は進んでいますが、日本の芸能についての研究はまだあまり進んでいません。
他の芸能とも比較して研究発表ができればいいなと思っています。
過去に、近代琵琶と同時期に流行った浪花節(浪曲)と比較解説、演奏をさせていただきましたが、ほかの部門とも積極的に交流し、戦前の芸能理解について深めたいです。
3琵琶を実際に体験し、一緒に歌ってみる講座
幼稚園から大人まで、琵琶に直接触れて一緒に『平家物語』を演奏してみる講座が好評をいただいています。
もちろんすぐには弾けないので、私が伴奏しながらみんなで一緒に歌ってみる…というスタイルです。
大勢で歌うから恥ずかしくもありません(笑)
子供のうちから古典に触れる機会があると、大人になったときに拒否反応が少ないというか…先入観なく楽しんでもらえます。
お弟子さんを助っ人に呼んで、大勢の方対象でも大丈夫です。
演奏依頼などはお気軽に以下のフォームからお問い合わせください。
ご一緒に講座内容を考えるのも、喜んでやらせていただきます。
薩摩琵琶奏者・水島結子の琵琶教室
力を入れているのがお弟子さんを直接指導する琵琶教室です。
東京・吉祥寺から5分程度の場所で毎週金・土曜日を中心にお稽古をしています。
年に2回、発表会を目標にそれぞれの課題曲を発表します。
詳しくは下記の記事にまとめてあります。
教え方に関しては「言語化」に重きを置いて教えています。
「芸は盗め」なんていうのは昔の話。師匠と寝食を共にし、初舞台から小さな舞台まで師匠が世話してくれる代わりに稽古をつけてもらったというむかーしの話です。
お月謝をいただいて、限られた時間のなか稽古を重ねなくてはいけないのですから、やり方だけ時間がかかるやり方に固執していてはなかなか進みません。
この角度だからこう弾ける、などと私は自分の経験を言葉にして伝えることを重要視しています。
だれもが最初は「はじめて」。
はじめて琵琶を触った喜びをいつも忘れないように一回一回の稽古時間を大事にしています。
現在20名ほどが通ってきてくださり、地方在住者もZOOM稽古をしています。
今後海外との時差を越えての稽古も予定中。ライバーで鍛えた?マイク、ミキサーの導入でコロナ禍から若いお弟子さんが増えました。
自分もそうだったのですが、琵琶をやっている人が少なく、交流するコミュニティがあるとモチベーションも上がるなぁと思い積極的にイベントを開催しています。
一緒に琵琶を練習する人、一緒にライブを見に来てくれる人、はたまたお弟子さん同士結婚する人まで出てきて
嬉しい限り。
それぞれ琵琶をやる目的や、練習頻度も違うし、全員が超練習して上手くなる必要もない。
だけど、いつも帰る居場所がここであってほしいな、という思いで教室を運営しています。
気軽に体験稽古にいらしてくださいね。
琵琶奏者・水島結子の思い
琵琶を通して、あなたの成長を確認するお手伝いがしたい。
私がいつも思っていることです。
友だちがいない、夢がない、やりたいことがない、ちょっと変わっていて人と馴染めない…という人でも琵琶を通して自分を見つめ、努力して稽古を続ければどんどん変わっていく過程をたくさん見てきました。
できなかったことをしっかり見据えて克服する、何事も続かなかった人が継続してできるようになるという体験は、現代においてはできるようでできません。
自分のダメなところ、弱いところを突き付けられるのは怖いですし、逃げたくなります。
「稽古」というのはまさにそれを目の当たりにしなくてはならないのですが、いったん克服すると次に挑戦する勇気が湧いてきます。それに、ちょっとだけ自分が好きになれます。
そんな体験ができるからこそ、武士の修養に琵琶が用いられたのでしょうし、自分を見つめる時間が少なくなっている現代人には逆に「新しい」勉強になる、と私は考えています。
一緒に琵琶という楽器を通じて、成長していく機会があることを願っています!
ビワビワ!