自分で練習するときには、どういうことに気を付けたらいいんだろう?
私自身、悩みに悩んで実践してきて効果があった方法です。琵琶だけではなく、ほかの楽器の上達にも同じことが言えると思います。
練習して上達したい楽器がある方の参考になれば幸いです。
先日このようなツイートをしました。
https://twitter.com/biwayunkoro/status/1257334636402946048
芸能をやっているとなかなか物が言いにくい世の中です。
現代のようなネット社会では広く伝統芸能について知っていただきたい、芸能関係以外の方からも琵琶に興味を持ってもらいたいという気持ちから、僭越ながら今後とも私が模索してきた稽古法などを紹介していきたいと思います。
楽器(琵琶)が上達する練習方法
大まかにわけて、自分で稽古するときに気を付けるべきことが3つあります。
・鏡で演奏している自分の姿を確認する
・力を抜くことに全力をかける
ひとつひとつ見ていきましょう。
1自分が出した音を聞く
意外とやっている方が少ないのがこれです。
譜面を追うだけ、弾くだけで精一杯のときは、自分が弾いた音を確認せず音の羅列状態で練習を進めている場合があります。
自分が出した音を聞いてから歌う、という基本的な弾き語りの要素を再確認してみましょう。
自分が出した音から歌うという動作を意図的に行うことで、自分の間やいつも間違ってしまう箇所を客観視できます。
ひとりで練習していると、歌と楽器のバランスの悪さを指摘してくれる人がいないので(そのために師匠稽古に行くのです)つい好き放題弾いてしまう練習になりがちです。
琵琶においては歌うタイミングを自分で作るので、自分の音をきっかけに歌う習慣をつけてみてください。
2鏡で演奏している自分の姿を確認する
打弦しか習っていない状態でも、積極的に鏡で自分の弾いている姿を客観的に見ましょう。
鏡チェックは手元、口元(歌の場合)、全体など分けて確認することが大事です。
・親指に力が入りすぎていないか・人差し指は伸びていないか
・手首が伸び切っていないか
・手首のグリップで撥を当てていないか
特に手首はぐりんと回るように使うと一瞬力が入るのでやりがちですが、(パチンコを回す感じ。パチンコやったことないんだけど)手首をぐりんと回すと撥が下に向いてしまうので気を付けましょう。
口元のチェックはまた歌の記事で言及するとして、全体のチェックについてです。
・姿勢チェック、曲がって座っていないか
・右手の位置は適切か
・左手を水平に上げ過ぎていないか
左手を柱の位置に合わせてがばっと開いたり閉じたりする人が多いです。下の柱を締めこむ時に脇を閉じて音程を調整しようとしても、音程は手首より下で調整されるので、無駄な動きです。
自然に下がるように意識しましょう。
どこかが痛いのは、無駄な力が入っているということです。
3力を抜くことに全力をかける
日常的に力んでしまっている人は、撥を持つ手だけでなく、色んな所に力が入っていることが多いです。
私もストレスを感じると無意識に食いしばってしまうくせがあるので、「力が入っているな」とまず意識をするようにしましょう。
意識ができるようになったら、力が入っているのを確認して深呼吸したり肩を上にぐーっとあげてストン、と落とす動作をしたりして力を抜きましょう。
息を思いきり吸い込んで口から徐々に「ふーっ」と最後まで出し切るのも効果的です。
肩、口、手が特に力が入りやすいです。
力で無理やり作った音は硬く、耳にも心地よくありません。
力を入れず、可能な限り撥の重みを弦に乗せるように気を配ってみてください。
意識するだけで半分くらい改善しますので、騙されたと思って意識することから始めましょう。
どこか痛いな…と感じたり無理な姿勢を続けないといけない場合、力が入りすぎています。
ひとりで練習する際は少しでも力が入ったら仕切りなおすようにしてみましょう。
左手で弦を締め込むときに左右にずれるのは力み過ぎです。指先に力を入れて指先でコントロールしようとせず、指に糸を乗せて垂直方向にすっと引き上げるイメージで音程をあげるようにしましょう。
琵琶は斜めに構えるので、自分では垂直に締めこんでいるつもりでもズレている場合が多いです。
それも鏡をみて確認するとよくわかります。
正しいフォームを意識して練習するとそれが習慣になるので、はじめは気を遣う箇所が多い!と思うかもしれませんが、ひとつずつ無意識でできるようにすることが大事です
まとめ①
◇楽器が上手くなるには自分の状態を把握しよう
・自分の体の使い方を客観的に見て、修正する
・鏡でフォーム(姿勢)を確認し、正しい形を反復練習する
・演奏するときに、力を入れ過ぎてしまっていないか確認する⇒なるべく力を抜いてみる
この練習はどれくらい継続すればいいの?時間がないときはどうすればいいかな?
具体的な方法をお伝えします
楽器が上手くなるためには、目標を定めよう
・長期的目標
・締め切り
たとえば以下のような感じです。
短期的…トレモロ奏法を意識しなくても繰り返しできるようにする
長期的・・・『敦盛』一曲完成
締め切り…演奏会など、自分で完成の日を決める
こういう基礎練習はできる限りいつも練習に取り入れたいものですが、時間的制限でできないこともあります。
締め切りを決める意図は、締め切り日から逆算してどれくらい練習すればいいか予定が立てやすいからです。
目標を段階的に定めてそれまではやる!と決めて取り組むと中途半端になりません。
本番の日でもいいですし、何月何日まではこの曲をやる!と決めてもOKです。
目標がないと、人間は頑張れず、目標があるとそこまで頑張れる・・・というものなので、うちの門下発表会は年に2回行っています。
楽器が上手くなるためには、練習時間を確保しよう
どうしても楽器が上手くなりたい!と悩んでいるならこの先1,2カ月くらいの最優先事項を「楽器の練習」に置くことをおすすめします。
時間の自由が利く方は、とにかく1日のなかで練習の時間を確保して、逆算してその他の予定を詰めるようにします。
もちろん多くの方は仕事が優先だと思うので、仕事以外で使えそうな時間はないかな~と探してみてください。どんなに忙しい方でも、1日15分くらいの空き時間がない人はいないと思います。
私はこのスキマ時間戦略でいろんなことをしてきました。
英単語や外国語単語の暗記、15分読書、数行だけと決めて短時間で歌の練習、発声練習…
塵も積もれば山となるです。
ちょっと空いた時間を全部楽器にあてると結構な時間が確保できます。
上記のことすべてを1回でやる必要はありません。
15分鏡の前に座って手首だけ集中してチェック・・・
15分集中して力を入れずに撥を持ってみる・・・
結構すぐできますよ!
楽器が上手くなるためには、継続しよう
いちばん大事だけどなかなかできないこと、がこれです。
「今日は忙しかったからできなかった…」「やろうと思っている気持ちだけが焦って練習がなかなかできない」という話をよく聞きます。
先ほどと重複しますが、ひと月に1回10時間稽古するよりも、毎日15分稽古するほうが効果があるといえます。
毎日楽器に触れてみることが第一歩。
そこから継続して練習の習慣をつければ自然と練習の時間が確保できてきます。
音を出さなくてもくてもいいから撥の角度を確認、手の力加減を確認。
演奏は、さまざまな要素を含む動作が同時に進行して行われます。
ひとつの動作を正確に、丁寧に練習する。
その確認を1日15分してみるだけで変わってくると断言できます。
まとめ②
◇楽器が上手くなるには計画を立てよう
・短期的、長期的目標を設定し、いつまでに完成させるかの締め切りを設定する
・練習時間を1日の予定から逆算して優先して確保する
・時間がない人は1日15分程度のスキマ時間を活用する
・少しの時間でも継続する
ぜひ、少しずつコツコツやってみてください。
私も微力ながら頑張ります~ビワビワ!
接している時間が多いほど上達すると信じて一緒に頑張ろう~