人工象牙開発と、私のプロ論

 

最近、お弟子さんと人工象牙開発をしています
琵琶は象牙を使っている箇所が多いので、その部分を人工素材のものに替えるべく
色々研究中です

 

事の発端は、うちのお弟子さんの中で急遽渡米の必要が出てきた方が何人かいること。

アメリカにはワシントン条約のため、象牙製品を持ち込むことができません。

ですが、和楽器には象牙が多く使われています。

演奏のために渡米するためには証明書が必要ですし、ビザも音楽興行用をとる必要がありますが、アメリカに住んだり旅行したりだと確実に持ち込めない状態です。

象牙と人工象牙の音色や性能の違い

人工象牙は象牙と比べて音色に遜色がないかと言われたらそんなことはありません。

バッグにしたっていい皮革製品とPVCの革を模したビニール製のものの差は素人目にもわかります。

ですが、これからの時代新規で象牙を使えなくなるということは、向き合わないといけない問題です。

もちろん、条約が施行される前から使われていた象牙類は大事に使わせていただく所存ですし、絶対象牙はNGとか象牙なんてけしからんというつもりもありません。象牙材は音がとても素晴らしいんです…。

象を見ると可哀想だなと思いつつ、先代の象たちに感謝しつつ、これからも大切に使わせていただきます!

 

人工象牙の作り方

これに関しては、うちのお弟子さんにお願いして配合違い、成分違いを作ってもらっていて使ってみて琵琶に合うものを決めていくという段階です。

糸口と大干部分(琵琶の上のあたりの柱)以外は音に影響がない部分なのでそれほど難しくないのですぐに替えられたのですが、このふたつはダイレクトに音を作るのでギターで使われている既製品を探したりしたのですが‥

ギター用に生成されている形のものしか販売されていないようだったので、いちから琵琶の形に合うように作ってもらうことにしました。

私は「こんな感じがいい」というだけで、すごいお任せです(笑)成分や配合に関しても研究段階ですのでまだ正式にこれがいいよ!とは言えませんが…見た感じは悪くはないなという感じ。

 

いずれはうちで渡米する方の楽器を全て象牙を使わない仕様に修理する…という形にできたらいいなと思っています。

うちのお弟子さんがそれで食べていけるように、と世の中にニーズがある限り、です。

私の夢のひとつは、琵琶工房を作り琵琶に関してのお悩みが解決できる場が作りたい。(琵琶コンシェルジュみたいな)

そして琵琶の修理や演奏で食べていける人を増やしたいなということです。

先人がそれで食べていないと、それを見た後輩たちは琵琶頑張ろう、って思えないですもんね。

演奏が上手い、演奏のニーズがあるのは何よりですが裏方の体制を整えておかないといざという時に困りますから。

 

人工象牙の開発と修理に関して現在ある琵琶店さんの営業妨害になるのでは…とうちのお弟子が懸念していましたが、ほかの業種を考えたら普通のことです。

ギターの修理店がひとつ増えたら社会にとっていいのに、琵琶の修理店ができたら批判されるのはおかしなことです。

琵琶に関わる人は食べていける世の中にしたいなと思っています。

 

自分の技術に自分で値段をつける大切さ

 

そもそも、芸能・芸術で食べていく際に最も難しいのは「自分の技術に値段をつけること、それをはっきりと主張すること」だと思います。

最初から予算を取って「いくら支払いますが、これでやってもらえますか?」といってくるクライアントは少なく、

「今度演奏会に呼んだらいくらお支払いすればいいですか?」という演奏依頼の形式がとても多いです。

 

演奏家は演奏することや舞台での作法には長けていますが、お金の教育を受けていないので(まぁほかの業種もそうですが)、そのあたりで安く見積もって言ってしまったり「高く言って生意気だと思われたらどうしよう…」と不安になることが多いんです。

私もそうでした。実際若いころは技術がないのと、研鑽中であることもあいまって自分の価値を低く見積もってしまうんですよね。

 

でも、新卒で何もできない会社員でもちゃんと給料は出ます。

学びながらお金をいただき、それに対して責任を負っていけばいいんです。

最初から全ての責任をひとりで負わなくていい。

誰かがそういってあげたら、もっと演奏家はちゃんと自分の演奏で食べていける世の中になると思います。

 

楽しいことを突き詰めるのが最強

 

芸術・芸能分野だけはなぜか「お金をいただきながら研鑽する」のが許されないというか、最初から完璧なレベルを求められがちです。

その裏には「好きなことをやってるんだから、お金をくれなんて図々しい、ずるい」というねたみの気持ちがあるのかもしれません。

何度も言っていますが、お金をいただきながら好きなことをやることが、最も成果を出しやすいんです。

好きじゃないことをいくら努力して頑張っても、もともと好きな人にはかないません。

 

エンジニアリングや研究職などはその最たるものだと思いますが、日々没頭して楽しいものが、お金になっているということでしょう。

芸術・芸能分野に関しても日々の稽古や練習がまったく嫌ではなく楽しいからできるのです。

楽しいことでお金をもらうべきでないという人が一定数いますが、好きなことを見つけて没頭する喜びを見つけたらいかがでしょうか?

絶対にパフォーマンスが良くなると思います!

 

私はずっと演奏以外の仕事も並行してやってきました。

バイトだったり、講座だったり、色々ありますが演奏よりも高い収入を得ていますので

 

自分は演奏家としてプロじゃないって言われたらどうしよう?

とか

お金を儲けるために琵琶をやっていると言われたらどうしよう?

 

などの批判を恐れてずっとほかの仕事をしていることを言えませんでした。(琵琶では儲かってないんですけど(笑))

自分の中で演奏一本で食べていく人こそプロで、その他は趣味!という思い込みがあったのだと思います。

自分にそのブロックがあったということは、知らず知らず他者のこともそう見ていたのかもしれませんね。

でもコロナ禍でその概念が変わりました。琵琶だけで食べている人はほぼいないですが、会社員として雇用されている人は生活の保障がある一方で、演奏や教室で収入を得ている人は大打撃でしたね。

 

プロとは何か

 

プロであるかどうかは収入の過多ではなく、生き方だと信じています。

そしてそれは演奏を聴いたお客様が決めることで、生業として成り立っているかは関係ありません。

世の中が絶賛琵琶ブームであれば話は別ですが、琵琶が日本のものなの?と言われるレベルに廃れている今日で琵琶演奏だけで生計を立てていくのはなかなか難しいことです。

ですが、自分の中にある力をすべて使って生きていくことは可能です。

 

私の場合は、罪悪感や社会の目を気にして生きづらさを感じている人に自分の魅力を引き出すコーチング講座を開催しています。

その裏には自分が琵琶をやっていて好きなことを好きだと言って色々言われたこと、琵琶なんて現代社会にいらないなんて言われたりして傷ついたこと、自分が好きだから発信しているのに「目立ちたいからだろ」とか「男に媚びている」などの陰口をたたかれたことなど…色々悩んで今にいたることから解決の手口を見つけるサポートをしています。

自分の評価が琵琶の評価だったり、自己肯定感が低かったことでダメ男と付き合ったり、変な恋愛を繰り返したことも糧になっています(笑)

興味がある方はこちらをどうぞ

 

 

 

これからの時代、職業で自分を表すだけでなく、生き方、思想で表せると信じています。

象牙材の開発とともに、人生ビワビワ、でまい進していく所存です~~

 

 

ではでは、ビワビワ!

 

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