どうやって企画すればいいのかなあ?具体的に何をしたらいいんだろう?
こんなお悩みに答えます。
学内のイベントながら、色んな業者が出入りする早稲田祭で何を見せるのか、何のためにやるのか、いくらかかるのか、誰を呼ぶのか…などを予算を組んで外部のゲストと話し合ったり、精算や書類を作成したりと結構大変でした。
でも一度すべて自分でやれるようになると、演奏で呼ばれたとき以外も好きな時に自分のコンセプトで琵琶の会を主催することができますよ!
演奏会のやり方はそれほど難しくありません。
まずは規模の小さいもので、演奏料を安くして、数をこなすことをおすすめします。
私の琵琶教室では年に2回、日々学んでいる古典曲を中心に発表会を行っていますが、これには目的があります。
②日頃の成果を発表する機会を作るため
③ほかの人がどんなことをやっているか、情報共有し、刺激を受けてほしいため
④自分で演奏会企画をする参考にしてほしいため
自分が参加したことがないと、どのように演奏会が進行していくかわからないですよね。
古典芸能だからといって堅苦しくする必要はないのですが、一連の流れを知っておく必要があると思います。
演奏だけしていればいいというわけではなく、琵琶自体の説明や歴史の説明、曲の解説などたくさん話すこともあり、わりと演奏会は神経を使います。
事前準備がほぼ重要となってきますので、余裕をもって計画しましょう。
絶対に演奏会の直前は、自分の曲のことで頭がいっぱいになります(笑)
事務的なことは事前にすませておきましょう。
この記事では、演奏会の主催の仕方と、演奏会で何をすべきかについて説明していきます。
琵琶の演奏会の主催のやり方と、当日まで何をすべきか
1琵琶の演奏会のコンセプト・演目を決める
最も大事な作業ですが、最初のうちは持ち曲が少ないと思います。
個人的には、曲を短くしたものをたくさん習って披露するよりも1曲をやりこんで披露するほうが勉強になるので短い曲をたくさんやらなきゃ!と意気込む必要はないと思います。
たとえば、3月に演奏会を開くのであれば「壇の浦」にしようと決めたとします。
元暦2年3月24日に壇の浦の戦いがあったことにかけて、です。
この時に大事なのは、いろんな事に疑問を持つことです。
この時の源平の布陣は?
何時頃から形勢が変わったの?
誰が指揮を執った結果、どうなった?
天気はどうだった?
など、具体的な事象を演目を知るうえでは学んだ方がよいです。
なぜなら、あなたが想像できていないことを、お客様は初めて琵琶で「壇の浦」についての語りを聞くのです。
なるべく具体的に、想像しやすいようにあなた自身が演目についての理解を深めてから挑んでください。
演奏会に慣れていないと演奏だけで緊張しますから、話す内容、琵琶の説明についても事前に紙に書いて話す練習をするとよいでしょう。
緊張するとと頭から話そうと思っていたことがぽーんと抜けてしまって、しどろもどろになることがあります。
2人以上で舞台に立っていれば、会話形式でなんとか乗り切れたりもしますが、琵琶はひとりのことが多いので、演目だけでなく、喋る練習もきちんと行っておきましょう。
譜面の横に付箋で、演目の内容(何年に起きた戦いだとか、話のメインなど)をメモしたり、進行順をメモしたものを貼っておくと安心です。
台本を作ってしまうとそれを読むだけになるので、台本を作ったら家で読む練習だけしておきましょう。
それくらい念入りにやっておいて損はないですよ!
馬鹿にするなかれ。
雑談がなく、単に演奏だけ淡々と聞かされる演奏会のつまらないことたるや(笑)
場の雰囲気を作るのが上手い人は、雑談も機知に富んだ雑談でお客様を和ませていますよ。
雑談の上手い演奏家の演奏会に行ったりして、どんどん吸収してください。
2琵琶演奏会の日時・会場・入場料を決める
<会場について>
都心の場合はできれば、駅から近い場所かみんなが知っている場所を選びましょう。
民家のなかにあって、看板もないようなところを会場にするとそれだけで客足が遠のく場合がありますし、雨の日のキャンセルも多くなります。
市町村のもつ公共の施設であればかなり前から予約しないといけないので、計画を立てて決めてください。
また、次項で詳細しますが、告知の期間は余裕をもって行いたいため直近過ぎる予定は立てないようにしましょう。
<入場料について>
最初は安めの設定がよいと思います。
1,000円とか、お茶付き2,000円くらいだと来てもらいやすいです。
最初からすごい有名なお城みたいなところを借りて入場料1万円とかにしてしまう人はいないと思いますが、
自分の実力にあまりに見合わないところを借りてしまうと、経費をかぶってしまう恐れがあります。
キャパ20人程度でワンコイン~1,000円程度で行うのが気軽でいいかと思います。
また、飲食店などでやらせていただく場合は、入場料折半という所も多いです。
始めのうちはそれでもいいかもしれませんが、演奏で生計を立てる場合半分持って行かれるのはかなり痛手なのでできれば施設費だけ払ってすべては自分がコントロールした方がいいですね。
「利益じゃなくて、演奏を聴いてもらいたいからいくらでもいい!」と思ってやってしまうと、なかなか演奏が上達しません。
きちんと自分の演奏にお金を払ってきていただいている、という責任感をもって演奏することが上達につながります。
儲けじゃないから…という意見は、一見謙虚そうに聞こえますが、「プロじゃないから失敗しても大丈夫」という逃げ道を自分で作っていることになりますので、きちんとお金を頂いていることをありがたいと感謝しつつ演奏を頑張りましょう。
3他の出演者、集客数を決め、告知をする
告知は演奏会の最低2カ月前から行いましょう。
小さめの演奏会であれば1カ月前くらいの告知でも問題ありませんが、演奏が第一なので、直前になると集客できていない場合は焦ることになるので、余裕をもって告知をするようにしてください。
100人以上の規模で演奏会を行う場合は、3カ月ほどは余裕を見た方がよいでしょう。
忙しい方は2カ月先の週末の予定も、結構埋まっているものです。
演奏会前は以下の行動をします
・チラシを作成し、紙媒体、WEB、SNS集客を行う
最初のうちは、なかなか予約が埋まらなくて焦るかもしれません。
でも実際に演奏直前になるまで行こうかな?でも都合がつくかな?と迷っている方は多くいます。
数日前に駆け込み予約があったり、当日にふらりと来てくださったりするので、諦めずに当日まで告知を続けることが大事です。
超有名人なら一度告知しただけで、数百人の動員ができますが、そうではないのだから地道にこつこつお客様にご連絡をしてみましょう。
一人ひとり丁寧にメッセージやご案内を送ることが大事です。
BCCで一括送信するのはメールを捨てられる可能性もあるので、できればひとりひとりに応じたメッセージを送ってご案内してください。
私はもう15年ほどそうして集客しています。
常連さんたちは情報を出しただけで、予約してくださるのですが、知り合って間もない人などはひとりひとりご案内させていただいています。
長く来てくださるお客様のなかに、銀座のクラブを経営しているママさんがいます。
その方も全く同じ方法でひとりひとりにメールや手紙を送って営業しているそうです。
何もしなくても琵琶が大ブームで誰もが聞きたい!という音楽であれば、やらなくてもいいかもしれませんが、丁寧なご案内をいただいてイヤな思いをする人は少ないと思います。
逆にBCCで一括メールがくる場合は、私は読みもしないのであまり意味がないのかなぁと個人的に思っています。
あと、コツとして当日料金と予約料金に差をつけておくと予約をしてくれる方も増えます。
予約1,000円、当日の方1,500円などと、500円から1,000円くらい差をつけておくとよいでしょう。
4精算をする
演奏会が終わった後は精算です。
ゲストを呼んでいる場合は、当然ですがもし集客が足りなくて赤字であったとしても、お伝えしている額をお支払いしましょう。
帰りがけはバタバタするので、演奏会前に楽屋でご挨拶する際にお渡しするのがよいと思います。
その際は、ぜひ新券で、宛名やメッセージを添えた封筒に入れてお渡ししてください。
ライブハウスのノリでお店との精算のあとにシワクチャなお札をポンとむき出しで出すのは最悪です。
演奏は、ゲストやお客様によって成り立つもの。
お客様へのお釣り銭も最初の方は新券に替えてお渡ししていますが、込み合ってくると頂いたお札からお釣りを出したりするので全員に新券でお返しはできませんが、気持ち的にはそういう気持です。
と思われるかもしれませんが、そう思って実行するもしないも自由です。
ただ、そういう考え方がいいな、と思ったら実行してみるのは悪くないと思います。
日頃から感謝の姿勢を身につけておくと、きっと応援してくださる方も増えますよ!
できたら、ご来場いただいたお礼のメールも一人一人にお送りするといいですね。
【おまけ】演奏会後自分でやるべきこと
演奏中は自分で録音をして(本番前にボタン押すだけでOK)、できれば早いうちに聞きなおしてみてください。
演奏の部分だけでなく、喋りでつっかえているところ、聞き取りにくい箇所、理解が不十分なところをチェックして、次回の演奏会に活かすのです。
企画・宣伝・ゲストや会場とのやり取りと自分の演奏…やることが多いですが、その分ひとつひとつクリアしていけばどんどん成長します。
演奏家はもちろん演奏がメインですが、琵琶の歴史や演目の背景、その当時の風習などたくさん勉強すべきことがあります。
すべて一度にはできませんが、少しずつ積み重ねていき、中身のある演奏にしていきたいですね。
ともに頑張りましょう!!
【番外編】自分で企画をやらないほうがいい演奏会【助成金をもらってする演奏会】
助成金を申請すると、企画時と終了した時点で少しの誤差も理由が問われます。
税金を使ってイベントを企画すると必ず支払う理由があるはずです。
なぜその業者を使ったのか、なぜその演奏者じゃなければだめなのか…
さまざま説明ができなければ予算は下りません。
その手間の煩雑さ、正確さを考えなくてはいけないのであれば、はじめから規模が小さくとも自分だけで企画・立案して決済まで行ったなった方が楽ですし、なにより演奏に集中できます。
助成金をもらう演奏の企画時に、自分も演奏者として出演してギャラをもらう、という項目で大概突っ込まれます。
出演者と企画者が同じな場合、お金欲しさでやっているように映りますので大抵通りません。
自分はギャラがなくとも、地域のためにとにかく実現したい!という強いっ気持がなければ申請するのはやめておいた方がよさそうです。
また、プロのイベント企画屋さんも競合で紛れ込んでいる場合も多いです。
彼らは助成金をもらって自分たちの利益を上げるプロなので、対抗しても負ける可能性が大きいのでやっぱり難しいかな、と思います。
助成金を得て文化事業を行う際は、申請者と演奏者が切り離されている場合がスムースでしょう。
はじめは上手くいかなくても、トライアンドエラーをくりかえしていけばきっといい演奏会ができるようになります。
自分が動ける範囲から始めましょう。
ビワビワ!